ビッグベイトに人生をかけた男の物語 後編

2014/12/04
総合 テクニック
「はっきり言うけど、軽い気持ちでやると怪我するよ。ゆーてもそんな簡単じゃないからね。でも、やり切って答えが出たときは本当に格別だよ」

2014年。時代がようやく彼に追いついた

ビッグベイトを使ったシーバス釣りを10年以上前から続ける山形のランカーシーバス釣り師・中野大輔。前回は少々口の悪い彼がビッグベイトと出会い、そしてシーバスを釣るまでの話をお伝えしたが、今回はそんな彼が実践するビッグベイトを使用法について語ってもらおうと思う。

 

FISHING STATION!編集部(以下、F!) 前回は色々と苦労話だったり、中野さんのビッグベイトとの関わりについて聞いてきましたが、今回はハウツー的なところを聞かせてもらえますか。前回「ビッグベイトは魚っぽく見せちゃダメだ」なんて話を少し出てきましたが。

中野大輔(以下、中野) そうだね。魚っぽく見せちゃダメなんだよ。確かに人が見るぶんには一定速度でリールを巻いてくるとルアーもよく泳いでるし、なんか釣れそうに見えるんだよね。でも捕食者に怯えるベイトフィッシュってそんな風には泳いでないよね、きっと。

F! たしかに。もっとビクビクしているというか。

中野 そう。一定の泳ぎって人間には自然に見えても、実は魚からはすごい不自然だったりするんだよね。だから、使い方は「目立っちゃうけど、目立たなく使う」って感じかな。

F! 目立たなく?

中野 「エサですよ」ってやるんじゃなくて「こっそり」やる感じ。簡単に言うと泳がせないってことだね。

F! ドリフトってことですか?

中野 そうだね。だから基本的にエスドライブなんかのS字系ビッグベイトなら、ほぼアップクロスの釣りになってくる。ダウンで使うなんてときはピンポイントに流し込むときくらいかな。

 

中野大輔が実践しているビッグベイトパターン

F! 中野さんのおすすめの使い方を教えてもらえますか。

中野 基本はさっき話したようにアップで投げて泳がないように巻いてくる。流してくるって言ったほうがいいかな。それだけで食うこともあるんだけど、でもスレた魚とか賢いデカい魚なんかはその動きだけじゃなかなか口を使わんのよ。そんなときはピン(ポイント)に差し掛かったときにラインテンションを抜いてそこからリールを半回転くらいさせてルアーの軌道を少し変えるの。フワッと沈んでいくルアーの頭を少し上げるイメージかな。

F! そこで食わすと?

中野 そういうことだね。

F! でも何でリールで? ロッド操作じゃ食ってこないんですか?

中野 ロッドじゃダメ。ロッドだとラインが動いてラインで水を叩いちゃうのよ。シビアな状況だとそれですべてがパー。見切られるのよ。

F! 厳しいですね・・・。

中野 やっぱり12cmのミノーとかで活性の高いシーバスを狙ったり、まだまだ経験の浅い小さい魚を相手にしたりする訳じゃないからね。それくらいまで考えないと結果は出ないことが多い。実際ジョイクロなんかはオートマチックにバランスを崩してくれるから巻いてくる釣りでも食ってくるけど、エスドライブは非常にテクニカルなルアーだね。でもモノにしたときの爆発力は半端じゃないよ。

F! ところでビッグベイトってあんなに大きいけど、シーバスはやっぱり捕食しようとしているのですか?

中野 これはなんとも言えないけど、捕食とか興味本意というよりは威嚇的な要素もあると思っているよ。「何やねお前、ドン!」みたいな。実際同じようなレンジ(水面直下)を引ける小さめのルアーと比べてもバイトの出方が明らかに違う。食うっていうよりもどこか威嚇的な出方なんだよね。

F! マニアックすぎですね(笑)。この記事を読んでくれている人の多くはちょっと深すぎるというか、難しすぎるって思うかもしれません・・・。

中野 はっきり言うけど、軽い気持ちでやると怪我するよ。ゆーてもそんな簡単じゃないからね。でも、やり切って答えが出たときは本当に格別だよ。それは自信を持って言い切れるね。あとはこの釣りをしているとミノーとかシンペンとか他の釣りが確実に上達する。「水に対して真剣になれる」っていったらいいのかな。この機会に興味を持ってくれた人は、ぜひちょっと腰を据えて挑戦してもらいたいね。

 

中野大輔
山形県酒田市在住。エバーグリーンプロスタッフとして人気ルアーを多数プロデュース。「80cm以下はいらいない」という強い信念のもと、近年注目を集めるビッグベイトを使ったシーバス釣りを10年以上も前から実践してきた。ようやく時代が彼のスタイルに追いつこうとしているのか。